値がつけられない樹

 

2019年4月27日

さんざし


千葉京成線の鎌倉大仏駅から線路沿いにしばらく歩いたところに、一軒の盆栽屋がありました。自宅から近いのでしばしば足を運んでいましたが、梨農家さんの倉庫を借りており、ミカン箱を並べた棚に500円から600円ほどの木ばかり並んでいました。まるで夜店の延長のような感じであります。所属していた千葉の盆栽会ではその盆栽屋を兄ちゃん盆栽と呼んでいました。自分が30歳ぐらいの頃です。

そこでこのさんざしを買い求めました。
当時住んでいた千葉のマンションは1階で専用庭があり、棚を作って育てておりました。
しばらくたったあるとき、よくよく見ると太い主幹が折れており、となりに下駄が落ちていました。マンション五階の子供が投げた下駄があたったのでした。仕方がない…と傷口を手入れしてそのままにしていたところ、折れたところのすぐ下から側枝が伸びてきました。以来、毎年白い花を咲かせてくれます。このさんざしを見ているとよくその当時のことが思い出されます。思い出がつまっているので値段をつけて売ることができません。また値段をつけたところで売れるようなものではないでしょう。あぁ、こうして話をしている途中に針金をかけておりましたら、側枝がひとつまた折れてしまいました。こういうことを繰り返してきた樹です。自分と一緒に住処を替えてもついてきてくれている樹です。​

山もみじ

千葉の寺に趣味者が集まりセリを開きそこで1500円で競り落としたものです。かれこれ40年ほど前ですので自分にとってはけっこう高い買い物でした。
もみじや楓は古くなると幹に縦皺が出てきます。
これもマンションの庭で上から落ちてきた布団かなにかの被害にあい、樹芯が折れて鉢も割れてしまいました。なかなかの鉢に入れてあったものですが、五階のおじちゃんが成田山の羊羹を持って謝りに来ました。たぶんそのくらいの価値としか思わなかったのでしょう。

ひいらぎ


45、6年前まだ自分が20代のころ、津久井湖の山道をその山の持ち主である古い親戚と歩いていたときに山採りをした実生の柊です。小さい鉢で育てていたため葉っぱもだんだん小さくなっていきました。
箕面から渋谷、柴又、また渋谷、そして千葉から三鷹へ。よくぞこんなあるじについてきてくれました。ありがとう。

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